決算書はただの紙?100万円を捨てる経営者

 
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みなさん こんにちは

喜創産業 2代目山本将司です!

今回は経営者の方に最低限理解して欲しい「決算書」のポイントについてお話します。

決算書が読めるようになったらいいなあと思っていても、勘定科目や言葉の意味が難解で見てもよくわからないし、

経理の担当者、税理士の先生に任せているから大丈夫だろうと考えて決算書についてしっかり目を通していない経営者の方がとても多いのではないでしょうか。

経営は数字を把握することがとても重要です。

税理士の先生に毎月5万円、10万円のお金を払って、決算の時にはさらに決算料を払うので、なんだかんだ100万円、場合によってはそれ以上のお金を使って出来上がった決算書を確認せずにそのまま引き出しに閉まっておくのは非常にもったいないです。

事業がうまく行った時の成功理由、逆に事業がうまくいかなかった時の失敗理由について決算書などの数字で確認をしなければ、抽象的な理解に留まってしまうので、次に活かすことが出来ません。

さらに自分の会社を将来どのくらいの規模にしたいか、どのくらいの利益を上げる会社にしたいかを考える上でも決算書はとても重要になります。

決算書と言えば、貸借対照表と損益計算書、これらについては皆さん当然ご存知だと思います。

損益計算書が1年間の成績表であるとすれば、貸借対照表は創業してから今に至るまでの成績表であると言えます。

一番上に売上高が書いてあって、一番下に利益が書いてある、損益計算書は比較的理解しやすいので、そちらにばかりついつい目が行きがちになってしまうと思いますが、銀行の融資を受けたり、会社の問題点を見つけたりする時には貸借対照表が非常に重要です。

売上を上げたい、利益を上げたいと考えるのは、それだけ収入を増やしたい、稼ぎたいからですよね。

今まで数字に関してはなんとなく経営をしていた方や、頑張っているのに思うような結果、収入に繋がっていないという方は是非最後までご覧ください。

今回は理解して欲しいポイントを2つご紹介します。

Contents

「総資本と利益」

 

みなさんも毎年売上の目標や利益の目標を立てていると思いますが、そもそも自分の会社が客観的に見て、どれくらいの利益を出せるポテンシャルがあるか?について考えたことはありますでしょうか?

会社の売上というのは、会社が持っている資産を運用して得られた収入のことを言います。

貸家業であればアパートという不動産資産、運送業であればトラックなどの車両資産を使って得られた収入が売上です。

この資産を使ってどれくらい稼ぐことができるか、それが会社のポテンシャルということになるのですが、これに関しては経済産業省が統計データを公開しています。

総資本利益率という指標になるのですが、日本企業の平均は大体3%から4%

この総資本利益率というのは貸借対照表の右側、負債と純資産の部を合計した総資本によって、何%の利益が出せるかというものです。

総資本は会社が集めたお金の合計と言い換えることができ、その内訳として負債が他人のお金、純資産が自分のお金という意味になります。

負債と純資産を合わせた総資本が1000万円の会社があった場合、日本企業は総資本の3%から4%の利益を出せるということなので、利益は大体30万円から40万円が平均値ということになります。

この計算でいくと、自分の会社を1000万円の利益を上げる会社にしたいと考えた場合、少なくとも3億円程度の総資本が必要ということになります。

この数字は全業種の平均となりますので、業種によってもちろんばらつきはあります。

自分の業種ではどの程度の利益を出せるはずなのか、確認してみて頂いたら良いと思います。

経費を削減するなどして利益率を上げることによっても利益を上げることは可能ですし、重要ですが、売上の絶対数を上げたい、利益を上げたいと考える場合、この資本をどうやって増やすかを考える必要があります。

総資本を増やすためには、毎年会社の利益を積み上げていくことと、金融機関などから資金を調達する、投資家から資金を集めるなど、このような方法で社長は金集めをする必要があります。

よく税理士の先生やコンサルタントの方が流動比率がどうとか、自己資本比率がどうとか、安全性がどうとかっていうことを仰られると思いますが、それを聞いてもなかなかピンとこないというか面白くないですよね。

冒頭にもお話しした通り、自分で会社を経営する、社長業をやるということは、それだけ稼ぎたい、これだけの収入が欲しいっていう目標がありますよね。

収入を増やしたいと考えるのであれば、事業の効率性を高めることももちろん重要ですが、自分の目標とする収入に近づけるためには、それに加えて、売上の絶対数を上げる、総資本を増やすということが必ず必要です。

会社の成長を考える時には、この資本戦略について考えていかなければなりませんのでどんな会社を作っていきたいかということはどんな貸借対照表を作るかと同じであり、かつ数字で具体性を持って目標を立てることができるので、より効果的だと言えます。

「銀行融資のマイナスポイントと粉飾は貸借対照表に残る」

銀行に決算書を提出しないといけないから、赤字にはできない。

少し数字を操作してやりすごそうといった軽い気持ちで行った粉飾は貸借対照表にずっと残り続けます。

また、経理や会計のことはよくわからないからという理由で、決算を経理の担当者や税理士の先生に丸投げしている方も多いのではないでしょうか。

そういった方は知らない間に銀行の融資が受けられない決算書が出来上がっているというケースがよくあります。

それでは銀行融資の際にマイナスとなるポイントと、銀行員が見抜く粉飾のポイントについてご紹介していきます。

決算書、貸借対照表の主なマイナスポイント

①役員貸付金

②仮払金

この2点については銀行は特に嫌います。大嫌いです!

役員貸付金は会社が社長や役員に対して貸しているお金です。

会社は人ではないので、会社が自分からお金を貸すことはありません。

なので、社長や役員が会社のお金を勝手に自分のことに使っているということになります。

銀行は会社の事業に対してお金を貸しているわけですから、会社のお金が事業以外のこと、特に社長や役員の個人的なことにお金が使われていることがわかると、社長に対する信用は無くなります。

お金にルーズな人だと思われてしまい、銀行の融資は審査がとても厳しくなります。

実際、社長個人の支払、借金が増えてきて、会社のお金に手を付ける。

その結果、会社をダメにしたケースは枚挙にいとまがありません。

役員貸付金は、社長が実際に会社のお金を使っていない場合でも増えていくことがありますので、注意が必要です。

貸借対照表の残高が合わない時に、数字を合わせるためであったり何に使ったかわからない経費を経理担当者や税理士の先生が役員貸付金で処理してしまうということがよくあります。

仕事で忙しいし、適当にやっておいてと、内容を確認せずに決算書を作ってしまうとあとで痛い目に会う典型的なパターンです。

もう一方の仮払金はきちんと仕訳をせずに一旦仮置き、仮で計上しておくお金のことです。

通常は決算の際には全て精算して他の科目に計上、残高を0にしておく必要があります。

この仮払金も銀行からすると、何に使ったかわからないお金、使用目的がわからないお金ということで、事業に使われていないお金があるのではないか?という疑いをもたれることがあります。

また、仮払金は従業員の横領に使われる場合も多いため、決算書に仮払金というお金が載っている場合は特に注意が必要です。

今すぐに内容をチェックした方が良いと思います。

銀行員がチェックする粉飾の主なポイント

先に言っておきますが、粉飾は必ずバレます。隠し通すことはほぼ不可能だと思ってください。

粉飾の主なポイントは

①売掛金・未収入金

②在庫

この2つは本当にポピュラーな粉飾に使われます。

損益計算書で売上を水増しすると、貸借対照表の売掛金や未収入金が実態よりも多くなります。

売上原価の在庫を水増しすると、貸借対照表の在庫が実態よりも多くなります。

損益計算書で行った粉飾は、貸借対照表に残り、もう一度損益計算書で処理をするまでは貸借対照表に永遠に残り続けます。

最初は軽い気持ちで行った、黒字に見せかける決算作り、これが毎年行われていくようになると取り返しがつかない事態に陥ります。

銀行も早い段階で粉飾に気がつきます。

銀行は決算書には必ず粉飾があると思って見ているからです。

銀行の担当者に決算書を渡す時にそこまで教えてくれないかもしれませんが、僕は銀行員時代、粉飾を見つけたらその場で社長に質問をしていました。

社長からすると20代そこそこの若者に痛いところを突かれるので、こいつめんどくさいなと思われていたと思います。

僕は本当のことを言うので、他人に嫌われやすいタイプの人間です。

粉飾をして黒字の決算書を作ることに時間を使う前に、まずは考えて欲しいことがあります。

どうして赤字になったか。

どうしたら黒字にできるか。

粉飾をして、臭いモノに蓋をして、やり過ごしても、問題の解決にはなりません。

しっかりと数字に向き合って、どうしたら1円でもプラスになるのか、突き詰めて考えてください。

1人で考えるよりも客観的な視点を入れて検討することがより効果的です。

まずは顧問の税理士の先生に相談してください。

毎月顧問料を払っているのですから。

税理士の先生で難しいのであればコンサルタントに相談してみてください。

赤字で資金繰りが厳しいから、粉飾をして銀行から融資を受ける。

それは十分に理解できます。

しかし、それでは現状の課題が明確にならず、再び同じ失敗を繰り返してしまいます。

赤字で資金繰りが厳しいと思ったら、専門家と経営改善計画を作って、銀行から融資を受ける方法もあります。

そうすることによって、赤字であっても、銀行の評価は大きく下がりません。

むしろ、真摯に事業と向き合い、改善する姿勢を見せていることは、銀行にとっては安心材料となります。

事業の立て直しは時間とお金と覚悟がとにかく必要です。

不安を感じたらすぐに相談して、常に業績を伸ばしていけるように取り組みましょう。

最後までご覧頂きありがとうございました。

 

 
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