いきなり!ステーキ 破綻はあるのか ペッパーフードサービス 決算短信を読み解く 元銀行員が徹底解説

 
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喜創産業山本将司です。

今回はいきなり!ステーキ(運営会社:ペッパーフードサービス)についてお話しします。

各メディアで自己資本比率が5%を割り込み、経営危機じゃないのか?という話が出ていますが銀行員目線で多店舗展開されている会社の立て直し方について解説します。

まず、2019年の第3クォーターの四半期決算が出ておりますのでこちらを基準に説明します。

Contents

正常先・要注意先

よく売上が減少したと言われていますが実際に減少しているのは1店舗あたりの売上なので全体の売上は増加しています。

今期の売上は518億57百万円で前年対比15.2%(68億円)増加しています。

それにも関わらず最終損益は19億円22百万円の赤字ですが経常利益は19百万円の黒字です。

本来返さないといけない債務=実質長期債務超過がいくらあるかが大事です。

この会社の固定資産合計は162億63百万円あります。

これに対して純資産の合計は13億93百万円になりますので、この会社が返済しないといけない債務は(固定資産16,263-純資産1,393)=148億70百万円になります。

これを15年以内で返済できることが正常先の条件となります。

足元の収益力はどうでしょうか?

の会社が長期債務を返せる力があるかどうかですが、経常利益が19百万円で減価償却の合計が9億7百万円でこちらを全て合計すると(経常利益+減価償却)=9億26百万円(返済資源と考える)になり、実質長期債務(148億70百万円)と返済資源(9億26百万円)で割ると16年になりますので今の段階でいくと要注意先です。

今回、この会社が本当に大丈夫なのかを見るのに1番大事なのは流動資産がいつ枯渇するかを見ていく必要があります。

流動資産の現預金が今の段階で55億54百万円、売掛金が20億23百万円なので換金性の高い項目に絞った流動資産が75億77百万円になります。

ですがこの会社の買掛金は66億33百万円あって、さらに1年以内に返済しないといけない借入金の金額は34億円に昇ります。

そのため2つを合わせただけでも100億88百万円ありますので流動資産と見比べるとお金が全然足りません。

このままでいくと1年以内に流動資産は枯渇すると思います。

考えていく方法

①折返し資金を調達する改善計画をもとに新規調達する

②融資条件変更で元金返済を止める

どちらの方法がいいのかが今回の見どころです。

チェーン展開している飲食業が廃店していくにあたり1番難しいところは現金商売という部分です。

毎日毎日お金が入ってくるのでその中から支払いをしていきますよね。

そうして成り立っているので儲かっていないなら潰したらいいじゃないかという話になってくるとそこの収益は上がってきますが効果が出てくるのが遅いです。

走っている自転車が止まると倒れる状況になってくるので廃店資金を出すのかもしくは条件変更するのかが重要になります。

この会社の買掛金が66億円ほどあって、返済や業者に支払わないとお店付近の地域経済に影響を与えるので条件変更するか元金を止めることになるかも知れません。

1年もしくは2年くらいで対処と廃店していけるとなると傷を負いたくないのが本音です。

理由は銀行じゃ融資残高に応じて貸倒引当金を計上しないといけない問題がありますので

同じ3%を引当にしても10億円や20億円もしくは100億円というと残高が積み上がれば積み上がるほど利益をやられてしまうからです。

1年くらいで済むなら金利さえもらえば要注意先で留まらず元金を止めたほうがいいです。

総じて飲食業に関して言えることは多店舗展開をすればするほど人材の調達が難しくなると同時にオペレーションも難しくなりますので今後はこのようなビジネスが成立しにくいと思います。

どこと競争するかというと食べログで星が4個以上ついているお店などや、飲食店に限らず、1万円を自由に使おうと考えたときにこのステーキが食べたいと思うかどうかです。

コンビニと競争することにもなりますしファミレスとも競争するようになります。

競争しないメニューを作っていこうと思うと資金がかかりますので、多店舗展開している部分の半分は今後減らしていくと思います。

今回の結論として

いきなり!ステーキだけにいきなり倒産することは考えにくいです。

ですが大きく手を打っていないと株価もどんどん下がっていくと思いますし、なにより収益体質に変えていかないと借入が返済できない体制になっていくと思います。

難しい状況でも競争がたくさんある中でうまく切り抜けた会社もあったりします。

代表的な例として、リンガーハット(長崎ちゃんぽん)は、もともとトンカツ屋さんだったんです。

トンカツ屋だとライバルが多く、マクドナルドやケンタッキー・フライド・チキンといったファーストフード店と戦わないといけなかったんです。

当時、長崎ちゃんぽんをチェーン店で作っているところは少なく、ラードを使用するのでチェーン店が出来ないところを品種改良して今のような収益体質に持っていくことが出来ました。

今の季節だと牡蠣などを販売して探りを入れていきながら別のブランドを作ることも1つの手となります。

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