大戸屋HD 国内事業失速 フランチャイジーの体力も限界か チェーン展開飲食業今後の展開 元銀行員が決算短信を徹底解説

 
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皆さんこんにちは喜創産業山本将司です。

今回は大戸屋さんについて説明します。

最近は売上が減少している話を聞いたり、バイトテロの問題があったりなど色々あったと思います。

大戸屋が今期どのように変わっているのかを銀行員目線で決算解説をします。

大戸屋は他の飲食系の大手企業と同じような業態をしています。

その中で色々な課題があります。

この課題に対してどのように対処していくかの予測と私の考えをお話しします。

Contents

①大戸屋の決算について

大戸屋の決算は3月です。

2019年9月30日の決算短信を見ると、この会社には特徴的なところがあります。

飲食業の中では固定資産が多い方です。

飲食店は借り物の上でリース資産でオフバランス化し、財務を軽くして短期間で回収をしていきます。

私は飲食の創業を行うときは大体3年くらいで回収できるよう計画書を作成してもらうようにしています。

飲食業は回収がなかなか難しい業態です。

大戸屋の固定資産は約58億円あります。(5,823,686千円)

固定資産に対して自己資本は約43億円です。(4,298,734千円)

固定資産(5,823,686)-自己資本(4,298,734)=1,524,952(15億2495万円)

そのため大戸屋の現時点の実質長期債務は約15億円です。

キャッシュフロー計算書を見ますと、税引き前で2億円のマイナスになっています。

税金等調整前四半期純損失が-2億962万円で減価償却が3億8278万円です。

税金等調整前四半期純損失(-209,628)+減価償却(382,781)=173,153(1億7315万円)

大戸屋の足元のキャッシュフローは1億7315万円になります。

実質長期債務をキャッシュフローで割る(半年分のキャッシュフロー)と、約8.9年になります。

実質長期債務(1,524,952)÷キャッシュフロー(173,153)=8.81(年)

同じように推移していたとすると、2で割って4.5年です。

飲食店の場合だと約5年で回収できれば問題ないと銀行は考えます。

大戸屋は毎年出店計画を立てていると思います。

5年の回収期間が早いか遅いかと言えば個人的には遅いと感じています。

飲食店くらい顧客償却が大きい業種は無いです。

新規で来てくれたお客さんが2回目以降リピートしてくれる確率は10%です。

残りの90%が顧客償却となります。

飲食業は最初に広告で宣伝をし、お客さんを呼び込みます。

そこから3年で回収し、収益を出して新しいお店を出店します。

前のお店の客数が少なくなってきたら廃店して次のお店を出店する仕組みをファーストリテイリングさんも行っています。

なるべく回転させて多く店舗を出店し、廃業していかないといけない構造が成り立っています。

②大戸屋の今の収益がなぜ減少しているのか?

セグメント別の売上をチェックします。

前年同期比でセグメント別の売上と利益で見ます。

足を引っ張っているものが国内直営事業です。

去年の売上高は7,121,631千円ありました。

今期は6,763,253千円と、約6%くらい売上が減少しています。

国内のフランチャイズ事業は利益が出ていると言われておりますが、昨年同時期の国内フランチャイズ事業の売上高は3,950,031千円、2019年9月30日時点で3,875,837千円です。

こちらの減り幅の方が私は危機感を感じています。

フランチャイザーが直営で稼げていないのでフランチャイジーの決算書はより圧迫されていて厳しいと思っています。

そのため本体の減収よりも危機感が高いのかなと思います。

ではどのようにして対策を行えばいいのか?

海外の直営事業は回復しつつあります。

去年が約14億円ぐらいの売上に対して収支は100万円ぐらいの赤字です。

今期に入って5000万円ほど売上を伸ばし、利益が345万2千円で若干回復してきています。

そのためこの会社は海外展開の方が上手くいっているのではないかと思います。

海外フランチャイズ事業

去年の売上高が114,750千円、今期の売上高は114,213千円で利益が同額ぐらいを計上していることになります。

国内では飽和状態が続き、海外に着実に展開していく必要があると思います。

今の段階では財務の健全性に関して問題はありません。

しかし、この会社は先行きに不安があります。

去年の実質長期債務償還年数は半年ベースで2年くらいです。

正確には2.14年なのでこのまま同水準でいくと出店して1年で回収できることになります。

うまく回転していた部分の仕組みが崩れてきて、現在では4年はかかってしまいます。

この1年の間で長期債務償還年数は5倍に伸びています。

回収した資金を上手く活かせていないことになります。

私が昔経験したもので例えますとレンタルビデオ屋です。

ハリーポッターの新作をたくさん仕入れるとその分レンタルをしてもらえました。

しかし、実際には40本出したいところが10本しか出せていないなど、投資体力がなくなってくると、このような展開が多くなり、新しい投資ができない事象が起きると思います。

足元資金に問題はありませんが今後収益力に翳りが出てきますし、今の事業構造にも問題が出てくると銀行員は考えていると思います。

③今後の対策(将司の考え)

フランチャイズで大事なのは

(1)味が想像できるかどうか

数ある商材の中でも飲食業は中流品がもてはやされていると言われておりました。

お昼ごはんのコストをかけないという風潮にでてくると考えております。

大戸屋のメニューは前より値段が上がり品数が減少したように財務を見て感じます。

そのためフードコーディネーターとメニューの見直しをしたり、広告を変える、またはサブブランドを作るなど改善していく必要があると思います。

今後の日本人の平均所得が世帯で400万円台が3割くらいと言われております。

その内の50%の日本人が自分は中流階級だと思っています。

最近ではホテル業がすごく盛んになっています。

周りの外国から見ると日本は安いと思われています。

日本人は今後貧乏になっていく傾向があります。

ビジネスを組み立てる時には高級路線かリーズナブルのどちらかにしないといけないと思います。

価格でお客さんを集客することよりもなるべくコミュニケーションでリピーターを作っていく仕組みを作っていくことが大事です。

SNSにアップする目的で一度だけの来店ではリピーターは増えません。

飲食業や美容室などを創業するときにはどのようにお客さんと接点を持つか。

お店の世界観から作りこんでいかなければならないのではないかと思います。

 
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