リクシル リストラ 大手企業の早期退職流行中 決算短信からリストラの兆候を解説 自力成長からM&A戦略へ

 
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喜創産業山本将司です。

最近40代でリストラを推進している会社が多くなりました。

他の動画やニュースを見ていても、あなたは大丈夫?とよく言われています。

今回はリストラを推進している会社の決算がどうなっているのか・今後の流れについてを色々なリクエストをコメントで頂きましたのでその中からLIXILの決算短信について解説します。

Contents

LIXILの決算状況

LIXILは3月決算です。

今のところ6ヶ月経過時点の売上が決算短信に記載されています。

固定資産が多いと実質長期債務が増えます。

LIXILも今回から会計方針を変更して、リース資産を貸借対照表にオンバランスさせる体制を取りました。

固定資産(非流動資産)が1兆3070億円ほどあります。

こちらに対して自己資本は約5600億円になります。

固定資産と自己資本を引いた差額が実質長期債務になります。

1,307,011(固定資産)-561,958(自己資本)=7450億53百万(実質長期債務)

では足元の収益はどれくらいあるのかと言いますと営業活動によるキャッシュフロー計算書の中にある税引前当期利益と減価償却の合計を足したものになります。

40,821(税引前四半期利益)+52,794(減価償却)=936億15百万円(返済原資)

936億15百万円が返済原資になります。

さきほどの実質長期債務を返済資源で割ると実質長期債務償還年数が出ます。

(実質長期債務)745,053÷(返済原資)=7.95(年)

この会社の実質長期債務償還年数は半年ベースで考えて約8年になります。

半年ベースで8年くらいなのでこのペースでいくと、1年計算では約3年~4年で返済可能です。

そのためこの会社は正常先とみなされます。

※(正常先<15年<要注意先)

②財務内容からリストラの兆候・来年以降の予測

なぜ財務内容が悪くないのにリストラをしようと考えているのか。

今回は2つの方法で考えていきたいと思います。

(1)貸借対照表

流動資産の中の営業債権及びその他の債権で見ていきます。

売掛金や未成工事支出金の科目です。

未成工事支出金の科目は受注を受けたあと、経費が先行し、外注費などを払います。

そして最後に売掛金が入ってきたときに未成工事支出金が0になって売上に反映されることを言います。

2019年3月31日で4016億5100万円ありましたが2019年9月30日の時点で3663億5300万円と1割くらい売掛金と未成工事支出金が減っていました。

今期の売上は上がっていますが手持ちの案件は減ってきているということになります。

私も銀行員時代に建設業の格付けを行ったことがあります。

業況がいい会社でも貸借対照表を絶対にチェックします。

この会社は足元で受注をしているだけで1割くらい減っているということは獲得している工事の総数が徐々に減ってきているのではないかと推測しております。

(2)業界地図をチェック

業界地図は日経新聞と四季報のものがありますが、私のオススメは四季報になります。

四季報が各業界ごとのページにお天気マークがついています。

このお天気マークを見ると業界の動向がどうなるかがわかります。

LIXILは主に住宅設備の会社なので来年も曇りマークです。

新設住宅着工数は頭打ち

リフォーム市場も伸び悩んでおり自力での国内成長は難しくなってきていると書いてあります。

新築の住宅が今後なかなか建たなくなってきます。

その理由として2つのことがあげられます。

(1)人口の減少

日本全体の人口が減少し、都市圏に人口が集中してきているからです。

(2)所得が上がらない

弊社は中国の仕事も手がけていますが、上海の企業の初任給は20年間で50倍ほど上がっています。

それに対して日本の企業の初任給は20年間でほとんど上がりません。

そのため日本で仕事をしてもあまり儲からないです。

前回もお話ししましたが、金融機関も今後は住宅ローンに消極的なってきますのでいまのうちから業態を変えていかないといけないです。

もう1つは中古住宅市場が伸びてきて10年前と比べて不動産の流動性が高くなってきたということです。

なぜかと言いますと、REINS(不動産流通標準情報システム)が普及してきたからです。

新築と比べて中古の物件を買って住むほうがいいという風潮が一般化してきました。

建築の事業があまり儲からなくなってきたのが1つ言えます。

ではリフォームをしたらいいのではないかと思われますが、リフォームの事業くらい営業が大変なことはないです。

「網戸の差し替え1つから承ります」と広く営業をして、その中からリフォームをとってくるという根気が必要な営業です。

大手企業でスマートな営業をしている人は泥臭い仕事が出来るかというと中々ミスマッチしてくるという事情も出てきます。

そのため体力のあるうちにリストラを実施して新しく業態展開をしていく考えに向いてくると思います。

同業他社の事例

最後に今後の流れについてですが、LIXILは得意技を持っています。

水回り ウォーターテクノロジー事業

こちらは増収に終わっています。

今後の日本の水道管周りはどんどん入れ替えていく時期になってくると思いますので配管事業は伸びてくると思います。

弊社のお客さんにも水道設備関係の会社の方がいますが、どこも伸び盛りだと思えます。

リフォームの仕事をするにしても何をするにしても今後このような業界がM&Aをするようになってくると思います。

業態転換、販路拡大で1番ありがちなのは海外事業です。

日本で成功した事例を海外でも展開するだけなので、考え方は単純です。

日本国内であれば、リフォーム業や不動産業などの建設周りを複合化してなるべく建設の方に持ち込んでいけるような事業を始めると思います。

建設業で、大和ハウスは異業態とM&Aをする中で成長しています。

箱物施策が苦手な業界は結構あります。

病院と介護は箱物施策です。

LIXILは介護に出ていたと思いますが例えば大和ハウスは不動産など同業ではなく異業態とM&Aをして大きくなっていきました。

今では中堅ゼネコンよりも大きい売上を立てていると思います。

今後このような業態は一旦体力があるうちにリストラを行い、より筋肉質になった上でショートカットで成長するためにM&Aをしていく傾向になってくると思います。

 

 
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