DeNA決算解説 不良資産を減損処理で大幅赤字 ゲーム事業の収益力も低下 新規投資の必要性

 
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皆さんこんにちは喜創産業山本将司です。

今回は株式会社DeNAの決算解説についてお話します。

最近502億円もの赤字が出て、いよいよベイスターズも大丈夫なのかと騒がれておりますが、

DeNAの問題として、本質の中で赤字が出たことが原因ではなく、他の部分に問題がありました。

一般の企業にも当てはまる話で、私も銀行員時代にこのことについて色々な話をしていました。

今回はその経験に基づいて3つのテーマで説明します。

Contents

ニュースで取り上げられた問題の本質(どうしてこのような追求を受けているのか)

DeNAは、2010年に米国ゲームアプリ開発会社のngmocoを買収しています。

この会社は2016年に解散しました。

1000万円の資本金を持っいる会社を1000万円で買収したときに、会社が長く続かなく、バンザイしましたとなった時、親会社は1000万円の損失で計上しないといけません。

2016年から2017年にDeNAは減損処理をしていないといけませんでした。

本来だと、会社の投資した資本を損益計算書上で赤字に立てないといけなかったところが出来ていなくて、今回の決算短信で減損処理しました。

2016年~2019年の期間、投資家は利益が安全に出続けると思っていた。

だけど、損金処理が分かった時点で計上しなかったのは粉飾です。

どうして粉飾をしたのかが今回の問題になります。

2016年に別事業で問題が発覚、第三者委員会も入ったりとDeNAはマイナス要素なイメージになっていしまいました。

投資家に減損処理させてほしいと言いづらかったのかなというところが個人的な見解です。

損金で落とさないといけないところを貸借対照表上にあげていたことになります。

私が現役のときに様々な会社の処理を見ています。

建設業でよくある話は、税金を払った年に損金処理しないといけないですが、損金処理を計上すると経営審査上に問題が出てきます。

そのため、仮払い諸税として貸借対照表に計上します。

黒字化したときに損の処理をしますと言っていますが、結局粉飾し続けて黒字が出ているようなかたちになっています。

このような大企業でも粉飾はあるんだなと今回の件で実感しました。

決算解説

株式会社DeNAは3月決算です。

今回は第3クオーターにて決算概況が出ていますがこの会社を見るポイントは1点。

固定資産に対する自己資本の割合です。

固定資産が1488億円に対し、自己資本は2030億円あります。

自己資本から固定資産を引く。

(2030億円-1488億円=542億円)

そうすると、542億円の余剰の資本があるということになります。

ですが、DeNAは864億円も現預金を持っています。

そのうちの542億円が資本金です。

DeNAは固定資産に対し、自己資本でまかなえている会社なので安全性が非常に高いです。

DeNAの固定資産の大半は不動産ではなく、会社を買収した無形固定資産や暖簾など関係会社に対する貸付金があるなど、形が残らない固定資産です。

今ゲーム業界が不振で、DeNAの出すゲームもオワコン化していると言われていますが、投資をして大きく成長していく余地はあるかと思います。

今回はお問い合わせに実質長期債務の考え方について深く教えてほしいということでしたので、それについてもお話します。

本来、健全な貸借対照表は左の流動資産で右の負債をカバー。

左の固定資産は右の資本でカバーできることが望ましいです。

固定資産から自己資金を引いたものが本当に返さないといけない債務になります。

DNAの場合、あれだけ世間で暖簾があるとか無形固定資産があると言われていますが、固定資産の方に全部入れてこれ以上固定資産が増えないと分かっている状況にします。

それを何年で償還し、会社が倒産していくかどうかを測る指標にします。

上場企業の大半は固定資産に無形固定資産を入れているので、銀行員は資産性0と考えています。

固定資産として全部張り付いてしまった場合、収益で何年で返していくかを見ています。

15年以内で回収できるならOKという考えが一般的な指標です。

では、DeNAのような問題が起きた場合、投資家はどこを見たらいいのか。

株価の増減を見ることも大事ですが、決算短信を見て、固定資産を自己資本でまかなえているのか。

まかなえていない場合、既存の収益でちゃんと返済していけるのかを見るだけでも、会社の株を買ったほうがいいかどうかが分かると思います。

DeNAから学ぶ教訓

 

・粉飾はあって当然

DeNAのような財務を持っている会社は非常に多く存在します。

どんなにいい会社でもボロボロの会社でも大なり小なり必ず粉飾はしています。

私は銀行員時代に診査役の方から銀行員は金貸しのプロだから、粉飾を見る中でリスクの所在と大きさを判断して受け入れるものかどうかを判断しなさいと教わりました。

経営改善指導をしていると、税務署に提出している決算書と銀行に提出している決算書が明らかに違うことがあります。

現生の動きが後から違うと銀行員に指摘されたときに、弊社へ相談されに来られるお客さんが多いです。

粉飾は仕方がないと思いますが、本来返さないといけない債務償還年数のプランがちゃんと出来ていないといけません。

そこが分かるようになると自分で自分を経営指導できる1つの目安になっていくと思います。

・流動資産の粉飾は要注意

流動資産の中で不良なものがないかを判断して入れています。

1年以内に返ってこない売掛金がある場合。

例えば、建設業でよくある未成工事支出金。

1000万円で工事を受けたら500万円は外注費や材料費に本来、払わないといけないです。

その500万円を経費に立てないといけません。

ですが、丸々1000万円を売り上げに立て、500万円の利益を出しているケースが多いです。

そこを銀行員はかなり厳しく見ています。

不良と判断されたものがいくらあって、既存の収益で返していけるかどうかを判断していますので、このような粉飾の仕方はよくないと思います。

・キャッシュフローを生み出す仕組み作りが大事

貸借対照表上で大事なのは資産の中で現金をどれだけ持っているか。

キャッシュを生み続ける仕組みづくりができているか。

この2つが大事になります。

何を商材とし、どこへ販売して儲けているのか。

消費者が変わることによってブレるものなのかどうかが大事です。

あったらいいなと思う商売をしている方は、ないといけない商品にどれだけ近づけれるか。

DeNAの1番の弱みはゲーム事業です。

ゲームってないといけないものなんですかね?

私はスマホゲームを結構するタイプですが、ゲームはあったらいいなと思う商売です。

ないといけないものにどれだけ近づけられるかの正念場を迎えている会社がDeNAだと思いました。

同じような事業を持っている方で、資本はあるけど、今後どうしたらいいか分からない、あるいは、儲かる事業にどのようにして持っていけばいいのかが分からない方は一度、弊社へご相談頂けたらと思います。

 
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