現役M&A仲介業者が「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」をレビューしてみた②(2/3)

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みなさん、こんにちは。経営資金に悩んだ時に、一番最初に見るサイトを運営している山本将司です。

前回、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」という本のレビューに対する回答の中で、M&Aとは事業の再構築であるとお話しました。

 実際に300万円で売っている会社はたくさんあります。

前回のおさらいになりますが、実際のところは300万円に加えて、事業をもう一度再構築し直すのにもお金がかかってしまいます。不動産の中古物件を安価で買って、そこに住もうと思えばリフォームしないといけませんが、それと同じことなんですね。
住居が自分の望む方向にリフォームされているかをよく確認しますが、会社もそれと同様に、新たに再構築した事業が、お客さんが欲しいと思うようなマーケットに一致しているのか、それを再確認しなければいけません。

それは具体的にはどういうことなのかを、これから2回でお話したいと思っています。

 ライザップの事業の再構築

1回目の今回は、以前から盛んにM&Aをやっているライザップという会社が、どう事業を再構築しているのかを、わかりやすくお話したいと思います。

ライザップという会社は美顔器を販売していますが、元々はおからクッキーを売っていた会社で、いろんなライバル会社が現れ、売り上げが激減しました。
その状況を打破するために、ダイエットやゴルフといった多角経営に走っているのがライザップの現在で、ゼロから事業を作るよりは、会社を買って再構築するほうがやりやすいという戦略をとっています。

その中の一例ですが、M&Aをする会社の商材にゲルマニウムコロコロというローラー美顔器とジェルがあって、美顔器は7000円、ジェルは4000円の値段でしたが、ライザップは買収後に美顔器1500円、ジェル5500円と価格改定をしました。これでライザップは飛躍的に伸びました。なぜかと言えば、美顔器は買い替えのニーズがあまりない半面、ジェルは消耗品なので何度も買ってもらえることによる価格設定なんです。ジェルは1500円の値上げですが、ライザップは広告宣伝能力に秀でており、巨額の広告宣伝費を注ぎ込んでかなり儲ける会社になりました。

単純なことですが、サラリーマンが独立しM&Aをするときには、その会社の事業が世間に認められているかどうかを見なくてはいけない。また、いくつか持っている商材の中に、広いマーケットを取れるものがあるかどうかを見極めなければいけません。

 ライフサイクルに合わせることが大切

「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」の本には、飲食業のM&Aは難しいと書かれていますが、それは飲食業が「飛び道具」を持たないからです。宅配で遠くのお客さんの家に持って行けないなど、ライフサイクルに合わせてビジネスモデルを変えられないことが理由です。

私は仕事でよく中国に行きますが、中国には出前をするだけの会社があって、たとえばスターバックスも出前が来るんですよ。それは「お困り事項の解決」なんです。中国から来た友人は、食事に行こうって言うとイヤがって、普通は持って来てくれるのに、なぜ日本ではわざわざ出かけるのかって言われます。日本も今後、中国のようになるかもしれません。

今のマーケットに合致しているかどうかを見極めるひとつの考え方として、どんな人が買ってくれるのかを考えていては必ず失敗してしまいます。そうではなく、ライフサイクルに合わせることが大切なんです。

昭和の時代、いくつも買い物袋を持って、主婦が肉屋、魚屋、八百屋へ行ったり来たりしていた時もありました。やがて女性が社会進出して忙しくなったのでスーパーマーケットが隆盛し、さらにスーパーにすら行けないほど余裕がなくなっているので、アマゾンのような宅配のネットショップが繁盛することになったということです。

今風のビジネスモデルにどうやって合わせられるかということです。ライザップはダイエットを軸に、自己投資というワードでいろんな事業を組み込んでいます。これができる人、できない人ではたいへんな差が出てしまいます。M&Aで事業を再構築して成功したいと思っている人は、そういう形の勉強が必須となります。

 M&Aの成功率は30%程度

実際にM&Aの成功率は30%程度と言われているので、この確率を40、50に上げたいのであれば、自分ならこの会社をどのように最初から立ち上げて経営するのか、それが頭にないと、買った後に事業の組み立てができず失敗します。
決算書では1億儲けていても、買収後に利益が10分の1になってしまったという会社をいくつも見ていますから、そういうところを買い手はよく考えなければいけません。

弊社は、どういう会社を買えばいいのか、今の事業実態を見てから買うのがいいのか、最初からやるのがいいのかなど、そういった相談も受け付けています。問合せフォームなどを通じて気軽にお問い合わせください。

今回は、有名な会社を実例としましたが、次回は実際に私が携わった例でお話したいと思います。よろしくお願いします。

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