建設業で利益が出ない社長が陥る「悪しき慣例」と改善戦略
はじめに
建設業界には長年続く“慣例”が存在し、それが原因で利益が出ない会社も少なくありません。口約束、マネジメント不足、契約書未整備などの構造的課題により、経営者が思うような利益を生み出せない実態があります。本記事では、現場の具体例を踏まえ、改善のための実践的な考え方を提示します。
1. 口約束のリスクと契約書の重要性
建設業で多いのが「口約束による受注」。このやり方は、工事内容の追加や変更が発生した際に不利な交渉を強いられる原因となります。契約内容が明確でないと、工期の長期化・追加費用未回収により利益を圧迫する構造になっています。
対策
・見積段階から費用を請求する体制を構築
・契約書は交渉の段階から作成し、録音・録画による証拠保全も徹底
2. 利益構造の設計と固定費の把握
仮に5000万円の工事で1000万円の利益を見込んでも、年間4件で4000万円の利益と仮定した場合、固定費が5000万円以上あれば赤字になります。経費と資金調達コストを含めた管理会計ができていないケースが多く、これが根本的な利益圧迫の原因です。
対策
・工事単位での原価管理と固定費の分解
・営業経費・金利・返済費用を含めた見積設計
・外注費の交渉や案件統合によるスケールメリットの活用
3. 組織運営とマネジメントの原則
経営者が直接現場に入りすぎることで、管理業務や経営判断がおろそかになる場合があります。特にNo.2や経理・専務クラスのマネジメント力が低いと、契約管理や金銭感覚に問題が生じます。
対策
・マネジメント視点で「範囲内裁量」を設定する
・契約管理と原価管理の専門人材の配置
・自社で契約書を構築・更新する体制と、弁護士・司法書士との連携
4. 顧客と外注先の選定基準
友人関係や口利きで取引先を選ぶと、不利な条件でも断りにくくなり、赤字受注の原因になります。良い顧客は「儲けさせてくれる顧客」、良い外注先は「協力体制が構築できる外注先」であるべきです。
対策
・営業活動を広く取り、条件交渉が可能な見込み顧客を確保
・見積もり・契約条件の標準化と入札競争の導入
5. マネジメントしやすいビジネスモデルへの転換
利益を確保するためには、マネジメントしやすい工程設計と収支構造が必要です。現物主義・証拠主義・契約原則を重視する企業体質が求められます。
対策
・工数管理・人件費見積が容易な単価制案件へのシフト
・契約書による進捗評価・支払い構造の見直し
おわりに
建設業界の「慣例」に頼る経営から脱却するには、契約書と原価管理の再構築が不可欠です。マネジメントしやすい構造をつくることこそが、持続可能な経営の鍵となります。
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