大戸屋の業績回復とコロワイドによる改革の背景
はじめに
日本の飲食業界で多くの人に親しまれてきた大戸屋は、長らく安定した業績を誇っていました。しかし、近年ではコロナ禍や内部問題により大赤字を抱える事態に陥りました。そんな中、飲食大手のコロワイドが大戸屋を買収し、改革を進めた結果、現在では過去最高益を記録するまでに回復しています。本記事では、大戸屋がどのようにして大赤字から業績を回復させたのか、その背景とコロワイドの戦略を解説します。
大戸屋の業績低迷と赤字の背景
大戸屋は、一時期コロナ禍の影響で大きな打撃を受けました。2020年3月、コロナウイルスの影響が始まる直前の時点で売上は240億円、限界利益は17億円とすでに業績が悪化していました。
さらに、コロナ禍に突入すると、売上は161億円まで落ち込み、経常利益は33.6億円の赤字を計上しました。店舗数も減少し、多くの店が閉鎖される状況に陥りました。
しかし、この業績低迷はコロナだけが原因ではありませんでした。創業者が亡くなった後、息子が経営を引き継ぐ予定でしたが、突然役員を外されるという内部のゴタゴタが続き、企業の方向性に不安を抱えた状態で経営が行われていたのです。
コロワイドによる買収と経営改革
この状況を打破したのが、大手飲食チェーンを展開するコロワイドによる買収でした。
コロワイドは飲食業界で数多くのブランドを展開しており、セントラルキッチン方式を採用することで効率的な運営を実現していました。コロワイドは2021年、大戸屋の株式を47%取得し、経営権を握りました。
セントラルキッチン方式とは、工場であらかじめ食材の加工や調理を行い、それを各店舗に配送する方式です。これにより、店舗での調理工程を大幅に削減し、人件費や食材コストの削減が可能となります。対して、大戸屋は従来、店内調理に強いこだわりを持っており、これが大戸屋の料理のクオリティを支えてきました。
しかし、店内調理は手間や時間がかかり、人件費がかさむため、利益率が低くなりがちです。
コロワイドの買収後、大戸屋はセントラルキッチン方式を部分的に導入し、運営の効率化を進めました。これにより、限界利益の改善が見込まれ、提供時間の短縮や経費の削減が実現しました。
店内調理のこだわりとセントラルキッチンの効果
大戸屋は、長らく「手作り定食」というイメージを大切にしてきました。店内調理にこだわり、その場で食材を調理して提供することで、顧客に高いクオリティの料理を提供することができていました。しかし、時代の変化や消費者ニーズの変化に伴い、効率を重視する経営にシフトする必要性が出てきました。
コロワイドが提唱するセントラルキッチン方式を取り入れることで、提供時間を短縮し、多くの店舗で統一されたクオリティの料理を提供できるようになりました。これにより、急いでいる顧客でも安心して大戸屋を利用できる環境が整備され、売上回復に貢献しています。
業績回復の結果と今後の展望
コロワイドによる経営改革と効率化の結果、大戸屋は徐々に業績を回復させ、現在では過去最高益を記録するまでに至りました。特に、セントラルキッチンの導入やコスト管理の強化が功を奏し、限界利益が安定しています。
今後の展望として、大戸屋はさらなる効率化とともに、従来の店内調理の良さをどれだけ維持できるかが課題となります。顧客からの信頼を失わずに、効率的かつ高品質なサービスを提供するためのバランスが求められるでしょう。
結論
大戸屋の業績回復は、コロワイドによる買収と経営改革が大きな転機となりました。セントラルキッチン方式の導入により効率化が進み、赤字から脱却して過去最高益を達成しました。しかし、大戸屋が持つ「手作り定食」の魅力をいかに維持するかが、今後の成長のカギとなります。
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