経営者保証を外す融資制度の影響と課題

query_builder 2024/10/08
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2024年6月に可決された新しい融資制度により、企業の事業全体を担保とすることで、経営者保証を外すことが可能となる仕組みが整備されました。

この制度は、中小企業が事業を継続しやすくするための政策ですが、リスクや課題も多く存在します。本記事では、この制度の詳細と、その影響について解説します。


経営者保証なしの融資制度とは
従来の融資制度では、経営者が自らの財産を担保にする「経営者保証」が一般的でした。

しかし、今回の制度変更により、企業が事業全体を担保に取ることで、経営者保証を外すことが可能となりました。

この仕組みの大きな特徴は、企業の無形資産や事業の価値を評価し、それを担保として融資が実行される点です。


新制度の目的
この新しい融資制度の主な目的は、中小企業の資金調達を促進し、経営者の個人財産に対する過度なリスクを軽減することです。

経営者は、個人保証なしで融資を受けることができるため、企業の健全な成長を促進し、倒産リスクを減少させる狙いがあります。


新制度の課題
一見有益に見えるこの制度ですが、いくつかの課題があります。


1. 破産管財人による経営管理の問題
新制度の一環として、企業が破産状態になった場合、破産管財人(破産手続きを担当する専門家)が一時的に経営を引き受けることが求められます。しかし、経営状態が悪化した企業に対して、外部の専門家が短期間で経営を改善するのは非常に困難です。


特に、既に経営が行き詰まっている企業に対しては、外部からの介入だけで状況を劇的に改善するのは難しいのです。


2. 無形資産の評価の難しさ
新しい制度では、企業の無形資産(ブランド価値、顧客リスト、技術特許など)も評価の対象となります。

しかし、これらの無形資産の価値をどのように評価するかが大きな課題となっています。

無形資産は、見る人によってその評価が変わる可能性が高く、特に金融機関や投資家がその価値を正確に判断できないことが多いです。


このような評価の不透明さが、実際に融資を受ける際の障害となり、企業にとっても予期せぬリスクを抱えることになります。


経営者保証を外すことのリスク
経営者保証が外れることによって、経営者は個人の財産をリスクにさらす必要がなくなりますが、それに伴うリスクも存在します。

特に、事業が失敗した場合に、責任が不明確になりやすいという点です。


1. 事業責任の曖昧さ
経営者が自らの財産を担保にしない場合、事業に対する責任感が薄れる可能性があります。

経営者保証がないと、事業が失敗しても個人としての責任を負う必要がなくなるため、経営判断においてリスクを軽視する傾向が生まれることが懸念されています。


2. 銀行による事業管理の強化
経営者保証が外れると、融資元である銀行や金融機関が企業の経営に対してより厳しく介入する可能性があります。

特に、融資の条件として経営の一部を銀行が管理するケースが増えることが予想されます。

このような事態に陥ると、経営の自由度が制限され、企業の独立性が損なわれることがあります。


無形資産の評価とその課題
新制度では、無形資産が担保として重視されるようになっています。

無形資産には、企業のブランド、技術、顧客基盤、知的財産などが含まれますが、その評価は難しく、しばしば主観的な要素が影響します。

無形資産の評価には一貫した基準がないため、金融機関によって異なる評価がなされる可能性があります。


無形資産の評価が適切に行われなければ、企業にとって不利な融資条件が設定される可能性もあり、企業の成長を阻害する要因にもなり得ます。


結論
経営者保証を外す新しい融資制度は、一見、企業にとって有利な制度に見えますが、実際には多くの課題とリスクが存在します。

無形資産の評価が曖昧であり、また、破産管財人が経営を引き継ぐ際の問題も深刻です。

企業はこの制度を慎重に活用し、事業の健全な成長と発展を確保するために、リスク管理を徹底する必要があります。




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