いきなり!ステーキ 資金調達で倒産回避? 大規模廃店 収益改善できるか 徹底解説

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皆さんこんにちは喜創産業山本将司です。

今回はいきなり!ステーキ(ペッパーフードサービス)の今後の展開についてお話します。

去年、69億円の新株予約権の増資を決定しました。

69億円の増資が根本的な解決に繋がっていくかについて、3つのテーマに分けて解説します。

①第三者割当増資に至る経緯

69億円の新株予約権の発行ですが、1株1,332円×520万株=69億円(MAX上限)というかたちで見ています。

どのようにしてそこに至ったのかという背景が大事になってきます。

いきなり!ステーキは2014年時点で30店舗構えていましたが、2019年6月の段階で472店舗に増えました。

5年で10倍以上に増えましたが、あまりにも増えすぎて、店舗同士の競合が起き、急遽44店舗を閉店が決定しました。

この中には新規出店予定だったものも含まれていると思います。

退店したことにより、23億円の赤字を計上してしまったことが今回の原因に至りました。

マーケットが決まっている中でたくさんの出店をしてしまった為に、1つの地域でオーバーラップしてしまい、利益が下がりました。

出店数が多かったので、資金が持たないと世間で騒がれていましたが、ペッパーフードサービスが本当に倒産するかどうかの検証にあたって2つのアプローチがあります。

(1)銀行が定めた期間内に借金を返済することができるか

2019年の第3クオーターが終わった時点で、ペッパーフードサービスが実際返さないといけない借金が148億円ほどあります。

162億63百万円(固定資産)ー13億93百万円(自己資本)=148億70百万円(実質長期債務)

今現在の足元のキャッシュ・フローはあまり追いついていない状況です。

今の段階で借金を急激に返していくことは難しいと思います。

(2)資金ショートするか

流動資産の中でもすぐに現金化できる当座比率を見て検証します。

ペッパーフードサービスの現預金は55億54百万円、売掛金は20億23百万円です。

飲食業は現金商売のイメージがあると思います。

しかし、飲食業も売掛金が発生するケースがあります。

それはカード決済です。

カード決済することで、短期間ではありますが立替が発生する場合が生じてきます。

相対する負債の部分は1年以内で返さないといけないものがどれだけあるかです。

ペッパーフードサービスは買掛金が66億円あります。

1年以内に返済しないといけない借入金は34億55百万円あります。

買掛金66億33百万円と返済しないといけない借入金34億55百万円を足すと、約100億円になります。

しかし、借金があるにも関わらず、ペッパーフードサービスは75億円しか流動資産を持っていないので、大丈夫なのかと世間で騒がれています。

②増資により倒産を免れることができるかどうか

ペッパーフードサービスは潰れると言われておりますが、第3クオーターの状態からすると、1年持つか持たないかの状況にありました。

それを打開するために69億円の増資という方向性に踏み切りました。

69億円を調達することでどのように財務が変わっていくかが大事になります。

69億円の用途に関する資料は出ています。

1番大きいものでは、借入金に48億円使っています。

他の動画解説者さんも、変なものに使いすぎているのではないか、もっと他のことに使わないといけないのではないかと解説していました。

ペッパーフードサービスが良い手か悪い手かで言うと、どちらでもないです。

148億円ほど返さないといけない長期債務のうち、48億円を投資で集め、銀行の返済に当てているので単純に銀行の借入が減っただけの話なのであまり問題ないと思います。

・銀行から借りている部分を投資に回す

・短期で借りているものを長期に回す

・長期で借りているものを短期に回す

 

これらを専門用語で資本構成の是正と言います。

今回ペッパーフードサービスは資本構成の是正を行っただけになります。

先ほどもお話ししたように、当座比率が全く合っていない場合、どのようにフォローしていくかですが、運転資金で使う資金の合計が約18億円あります。

流動資産の75億円に18億円を足すと、約90億円になりますので、まずは一旦当座の確保が出来ました。

1年以内に返済しないといけない長期借入金が34億円に対し、投資で集めた48億円が一部当たってくることが想定されますので、一定の資金収支の是正のところは確保されています。

資金収支の是正は、現金の入と出が貸借対照表上で合うことを言います。

ペッパーフードサービスはとりあえず倒産の危機を回避できたと思います。

③今後の展開(根本的な解決が図れるかどうか)

今回、69億円の資金を調達するにあたった原因は赤字体質だったからです。

30店舗しかなかったものが5年で472店舗まで増えたことにより赤字になりました。

しかし、内訳を見ていると何も手を打っていないです。

47店舗を退店することで23億円の赤字が出ました。

23億円を47店舗で割ると、1店舗廃店するごとに5千万円のお金が必要になります。

仮に赤字店舗が100店舗あったとすると、50億円使わないといけない状況になります。

そのため、今の段階ではとりあえず間に合わせたことになります。

最終的に資金収支を合わせるために廃店しないといけないですし、今の身の丈に合った投資に戻していかないといけないです。このことをダウンサイジングと言います。

身の丈に合うようにするには、お金が本来50億円くらいいると概算で考え、その中で69億円を借入に返済にあててしまったことで今後、ペッパーフードサービスがどのようになっていくかが非常に興味があります。

倒産する背景には戦略上の問題とマネジメントの問題の2種類があると前回もお話しさせてもらいました。

ペッパーフードサービスの戦略上の問題は、いきなり!ステーキがヒットし、倍々ゲームで出店し、うまくいっていた時の呪縛から解き放たれていないから問題が出てきます。

マネジメントの問題は、焦りからの逸脱と言いますか、今ある足元の仕事を着実にしてこなかったことが今後露呈してくると、お金も借りれなくなりますし、2期連続赤字になってくると投資家からも見放されるし、銀行もお金を貸してくれないです。

そのため、次の決算の段階でしっかりとした廃店計画を打ち出すことが必要になると思います。

飲食業の倒産は今年が過去最大を記録するのではないかと言われてます。

顧客償却が大きいからです。

昔と今で変わったところは、美味しいご飯を作れば必ず来てくれる時代ではないこと。

食事に来ることによって、空間をどのように提供するかどうかを考えないと顧客を繋ぎとめることが出来ない時代です。

料理人だからいいお店を経営できるというのは全く違うものであって、いい経営者の方が飲食経営に関して一歩抜き出てくる1年になってくると思います。

 

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