ソフトバンク 銀行目線の倒産可能性 元銀行員が解説!
皆さんこんにちは喜創産業山本将司です。
前回、世界倒産図鑑を基に倒産のメカニズムについて解説をしました。
昨年から倒産しそうと言われているソフトバンク。
今回はソフトバンクを世界倒産図鑑に書かれているメカニズムに当てはめてみるとどうなるのかについてお話します。
①倒産のメカニズム
倒産とは支払いができなくなった状態のこと
取引先への支払いのみならず、税金や従業員の給料など支払いが必要なものが払えなくなった時に倒産と言います。
倒産に至る主なパターンは2つあります。
(1)戦略上の問題
・過去の成功体験に囚われている
・そもそもの事業シナリオが練り上げられていない
(2)マネジメントの問題
・経営者と現場に距離がある
・焦って無茶な投資、会計管理がずさん
今回ソフトバンクはどこに該当するのか
今の段階では大きな懸念事項は考えておりませんが、該当するとなると、戦略上の問題部分で、過去の成功体験に囚われているところです。
ソフトバンクビジョンファンドの一号ファンドが成功し、その成功体験を基に二号を打とうと思っていました。
ですが、OYOLIFEやWeWorkに投資をしたことで、どのように抜け出して行けばいいか悩んでいる状況です。
②決算のチェックポイント
銀行が融資をする会社が倒産するかどうかの確認には2つの方向性から見ていきます。
(1)借金が利益で返せるか
規定の期間、15年以内で返済可能か
(2)資金がいつ枯渇(ショート)するか
ソフトバンクは様々なファンドに投資をしたり、大きなM&Aをしています。
そのため、暖簾が重い、あるいは無形固定資産が大きいと騒がれています。
では、実際に実質長期債務がいくらほどあるか皆さんはご存知でしょうか。
固定資産(非流動資産)29兆4009億円に対し、純資産(資本)が8兆6236億円あります。
固定資産から純資産を引くと、実質長期債務が20兆7773億円ほどのあることが分かります。
仮にビジョンファンドが焦げ付いたり、無形固定資産が全部ダメになったとしても20兆円くらいの固定負債に収まってくるのが今の現状です。
利益で返していけるのかですが、
ソフトバンクの半年分のキャッシュフローですが、1兆5085億円を半年間で稼いでいますので、この会社は本業でしっかりと儲けていることが分かります。
実質長期債務20兆7773億円÷半年間の収益1兆5085億円≒13.77年÷2(半年ベース)=6.885年になります。
よって、約6年~7年の間に長期債務を返済することになります。
仮に、全部台無しになったとしても今の収益だと7年ほどで返していけると思います。
銀行の基準から見ると、容認できる範囲だと思います。
資金が枯渇するかどうかがこの会社にとって非常に大事になります。
もし、万が一あるとすれば黒字倒産が考えられます。
ソフトバンクが半年間でいくら返済しているのかを決算短信ベース(6ヶ月)で見てみると、3兆5928億円ほど返済しています。
この3兆5928億円の返済をどこで賄っているのか。
2019年4月~9月に5兆1966億円借りていて、同時に、ビジョンファンドから1兆3566億円の配当がありました。
借り換えた3兆5928億円から5兆1966億円を借り増ししているので、差額の1兆円をビジョンファンド買うことに使っていると前回指摘しました。
半年ベースで期の途中で分かりにくいと思いますので、1年で考えてみます。(2019年3月決算)
ソフトバンクは1年間で7兆1284億円の資金を返済しています。
同時に6兆1891億円の借入をしています。
ビジョンファンドで投資家から集めた金額は2兆1337億円です。
キャッシュで言うと、1兆円ほど資金を残しています。
借入金を返済していると資金が足りなくなります。
そのため銀行から返済のためにまた借入をすることを年度の折返しと言います。
2020年3月決算時に出てくる問題として、赤字が出てくると年度の折返しの際に断られる可能性があります。
では、断られたときにどうしたらいいのか
2019年9月時点の現預金は4兆2592億円ありました。
孫さんの社長室長で三木雄信さんが書いている本を読んでいると、孫さんの考え方としてお金をたくさん借りることによって何重にも防衛線を張り、その中から1つ大当たりするものがあればみんなを食べさせていける。
現金=時間という考え方を持っています。
これだけ借入を起こしていても、その分、現金の両建て(借りたお金が通帳にそのまま載っていること)をしている状態です。
今後、仮に銀行が融資を断った場合に1年間で7兆円の資金を返済していることになりますので、1年と少ししかソフトバンクは持たないです。
資金が枯渇するのかしないのか
銀行が利益の中から1年間で7兆円返済している部分に対して資金を折り返していく支援をしています。
銀行の支援体制の中で生きている会社です。
みずほ銀行の銀行体制だと大きく変わって、今後支援しませんと言われると危なくなってきます。
たくさんの従業員を抱えている、大きな取引先を持っているからです。
孫さんから見ても、みずほ銀行を支援している部分はたくさんあると思います。
ビジネスチャンスが出てきた時に取引先を紹介したり、今後会社がどのような向いていくかのリレーションを取るために定期的に幹部が銀行と会っていると思います。
その際に、有用な情報をみずほ銀行も利用していると思います。
これから銀行が儲けていく道でもあり、一概にいけないとは言えません。
地方銀行ではよくある話です。
密接な関係がある限りは支援し続けてもらえると思いますので潰れる可能性は低いです。
③今後の予測
ビジョンファンドがもし、焦げ付いた場合、銀行からすると毎回借りたものに対して使われていることが1つありますが、1番最初に考えないといけないところは今後このような投資をするのを辞めることです。
ちゃんと稼げているので、収益の中で規定の年度内に借金が返せていることが見えています。
今後、資金が足りないとなった場合、私が仮に担当者であれば、支援は徹底的にしていきます。
ですが、ビジョンファンドにどのように投資をしていくか、また、WeWorkに投資をしないでほしいなど、バケツから水が出ていく部分を見つけて塞いでいくような動きで出ると思います。
ビジョンファンドを活かすよりもソフトバンクの会社を活かすことが銀行は大事だと思っています。
最後に個人的見解
みなさんが見ている上で絶対にやっていかないといけない納税の問題があります。
納税をすることで借金を返していかないといけない難しさを誰よりも知っている1人の人間が私だと思っております。
経営改善をしていると、税金を払いながら借金を返していかないといけない問題がでてきます。
M&Aをする時に1番難しいところで、事業計画を起こしていくと、借金を返していくことは出来るけれど税金を払うと借金を返せないことがよくあります。
暖簾の償却をしていきながら借金を返していく、その上で納税を納めていくことを、みんなが見ているなかでしないといけません。
いかにして、銀行と資金対策をしていくかがソフトバンクは大事になってくると思います。
海外に投資する企業はなかなか無いです。
海外に投資することによって日本の会社のメリットが見えていかないと、今後海外の会社を買うから資金を融資してくださいということがあった場合にメリットが無いと思われてしまいます。
2つの考え方として、1つ目に成長性の問題があります。
融資の五原則として、公共性、安全性、収益性、流動性、成長性の5つが上げられます。
融資の五原則の中でソフトバンクに1番問われるのは公共性と成長性の2つで議論が分かれると思います。
日本で集めたお金で海外へ投資すると、投資をしたリターンが返ってくるかもしれないですが日本の国の産業を育てることには最終的になっていかないことになります。
2つ目に公共性です。
ソフトバンクのメリットはトヨタと提携して自動運転の取り組みをしています。
これはすごいことで、車を売る世界観を大きく変えています。
もう一点、公共の中で1番難しいところの高齢化した人が車に乗れなくなるお困りごとの解決に真摯に取り組んでいます。
このようなことに資金を調達したいとなると、どこの銀行もパワーをかけて支援していくと思います。
しかし、ビジョンファンドが外国のよく分からない会社に投資をすることでお金を融資してください、もしくは投資をするからお金を調達したいということがあった時は難しいと私個人の見解です。
会社を買う、新しい投資をする、新しい事業を起こす、何が1番大事かと言いますと、同義なんです。
色々な案件に携わっていると、儲かるから〇〇をしてみませんか?〇〇に対して資金を調達したいから山本さんにお願いしたいと言った相談が多いです。
そこに正義のない案件は私はしておりません。
創業時は、儲かるならと思っていましたが、ろくな目に合ってないです。
理由は、同義が外れるものに動くと、自分が自分でなくなるからです。
ソフトバンクにも大きい会社にも言えることです。
会社が通信という世界を通じてどのような世界感を作り、どのような人たちの助けになっていくのかをしっかりミートしていないと企業は正しい成功を導き出すことが出来ないです。
その面から、稲盛和夫さんは凄い人だと思いました。
私も盛和塾のオブザーバーをしていた時期もありますので、今考えてもやっぱり凄い人だと思いました。
今後このような話が色々出てくると思います。
周りが話していることを実際キャッシュベースに置き換えたらどうなるのか。
向かっていく方向性や精神論が合っているのかの検証動画をどんどん配信していきたいと思います。
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