不動産投資家大ピンチ!! 中小企業事業者は追い風 お金の流れが変わる 20年ぶりの金融大改革 金融検査マニュアル廃止で日本の経済が大きく動く
皆さんこんにちは喜創産業山本将司です。
今回は中小企業の融資が通りやすくなる?という題材でお話しします。
先日、金融庁の主催するセミナーに参加した際に金融検査マニュアルが廃止になるというお話を聞きました。
銀行は今後お客さんともっと密な関係になって融資を積極的に実行しなさいという内容でした。
今回は主に4つに分けて分かりやすく説明します。
①金融検査マニュアルとは?
例えば銀行が融資をするときに正常先か要注意先か、また要管理先であるなどの判断をします。
なぜこのような判断をするのかと言いますと、昔バブルが崩壊したときにどの金融機関も経営が厳しい時期がありました。
不良債権処理をより加速するために大蔵省が銀行の債権をわかりやすく検査をしていました。(蔵検と言います)
しかし全国の銀行の案件をすべてチェックすることは難しく、そこで堺屋太一が自己査定制度を作り、自分で銀行の債権を査定させることとなりました。
実際に査定するとなるとどのように査定したらいいのかわからないので全国共通のマニュアルとして金融検査マニュアルを作成しました。
これが金融検査マニュアルの始まりです。
②なぜ廃止になるのか?
20年も続いた金融検査マニュアルをなぜ廃止するのか?
2つの意味で廃止せざるを得なくなりました。
まず1点目
参加させて頂いたセミナーの講師は金融庁で働いている元地銀出身の方でした。
わたしと同じ銀行の出身の方で「捨てられる銀行」や「金融排除」の本の題材になった方です。
昔からこの方は地方銀行と金融庁との関係性や立ち位置がおかしいと思っていたそうです。
わたしも実際現場で働いていて実感していましたが、みなさん役所の方を向いていてお客さんの方を全く向いていないんです。
お客さんは自分の会社が要注意先や要管理先だと分類されていることを銀行の担当者から教えられることはありません。
しかし、銀行員は新入社員のような若い行員でもその会社が要注意先・要管理先であることを知っています。
国の基準で分類していますが、悪い分類をされていたとしても、お客さんがそれを知る機会はありません。
銀行の目を役所からお客さんへ向けさせ、一緒にその会社の事業展開を考え、融資を実行し、より伸びていくようにコンサルティング業務も行っていくという仕組みに大きく変わっています。
2点目
銀行はお客さんから預金を集め企業に融資をしています。中小企業に対する融資や大手企業、地方公共団体にも融資をします。
有価証券を買ったり住宅ローンやアパートローンなどの運用方法もあります。
本来あるべき金利水準で考えると中小企業融資以外の融資は全然儲かりません。
お客さんが定期預金を半年間の金利と1年や3年の期間別で見ると3年の方が金利は高いですよね。(金利は期間が長くなるほど高くなります)
同じことが融資にも言えまして、半年間で企業に貸す金利と住宅ローンで30年間貸す金利も、期間が長いほど、金利が高くなるはずですが、今の住宅ローンの金利水準はとても低く、あまり差がなくなっています。
調達をする側の金利差はかなりあります。
例えば仕入れが半年間0.5%で調達をして半年間で1%で貸しますという事業性の金利と住宅ローンの場合30年だとしたら2%で調達した金利のものを1.8%・1.9%の10年固定で金利を貸していたりします。
これをこのまま容認するとどの金融機関も危なくなることを国はもちろん知っています。
専門用語でイールドカーブ(利回り曲線)と言います。
このイールドカーブの曲線を儲かるところまで押し下げています。
わかりやすく言いますと、ゼロ金利・マイナス金利政策ということになります。
このまま低金利対策を維持すると危ないと言われておりますが金融機関を守るという面では間違っていない政策です。
しかし、いつまでもこのままやっていると埒が明かないことを金融庁も知っています。
だからなるべく今のうちに地方公共団体や大企業に対する融資を締めていき、中小企業の方に手厚く融資をさせ、儲かるように仕向けています。
そのために金融検査マニュアルを廃止してお客さんと中小企業がより深い関係性になること。
中小企業に対する融資を増やすという仕組みになってくることが主な概要です。
③廃止による影響
前回、大塚家具さんのお話しをさせてもらいました。
大企業に対して融資を調達すること返済期間の長い融資は非常に通りにくくなっていると思います。
アパートローンなども厳しくなってくると思います。
住宅ローンだと本来儲からないものなのでいい加減辞めたほうがいいとなります。
足の長いものに対しては厳しくなっています。
不動産の業でする場合は不動産を1つのビジネスとして行う事業計画書を作成すれば形式的な審査しか行わないアパートローンなどに比べて、融資が受けやすくなります。
長期借入金は毎月元金の返済がありますので、その期間に応じてどんどん減っていきます。
銀行からすると短期借入金よりもリスクを少ないということになります。
そんなことをするのではなく在庫で回転している部分に対してはどんどん短期資金で積極的に融資を行い、顧客も育てながら銀行も成長しなければなりません。
不動産業も土地を買って建物を建てて戸建てで売っていくようなビジネスに関しては担保もとれるしちゃんとした計画があれば融資が通りやすくなるかなと思います。
長期と短期の資金の按分(内訳)が短期の部分で増えてくると思います。
1億円や2億円の土地を買っている場合、土地の返済資金も10年、15年と返済期間を設定します。
利益金額よりも返済金額の方が多いと預金が減っていきます。
あと、在庫が回転する部分も長期資金で融資をしている会社は結構あると思います。
こちらに対しては短期資金で融資を行い、3ヶ月おきにモニタリングをします。
そうすることで銀行員が密接に繋がりやすくなってくると思います。
その他にもいろいろな施策がありますが、その中でジョブローテーションも廃止するそうです。
今のジョブローテーションでは1つの支店に5年以上在籍できないルールがありました。
こちらも撤廃するので1つの支店に20年以上勤務する銀行員も出てくると思います。
④2020年の傾向予想と対策
世の中が不景気になると言われています。
不景気になればなるほど国は様々な金融政策を打ってきます。
1つはお話しした通り、金融検査マニュアルの廃止です。
2つ目にセーフティネット保証拡充(信用保証協会)です。
セーフティ保証というのは、例えば国が2000億円の予算を立てて、20兆円の保険を作ります。
それを全国の保証協会に分配します。
100%保証を作り、銀行に保証を行うので銀行の融資も実行しやすくなります。
過去に2回ほど小渕内閣の時と麻生内閣の時にセーフティネット保証を行っていました。
どちらも悪くない結果に終わっています。
企業はお金があると赤字でも潰れません。
その間に景気が良くなり、企業が返済できるようになればいいという概念です。これがいずれもう1度出てくると思います。
前回と今回で違うのは短期資金で運転資金で回転させることが重視されることです。
今のうちに起業をして、セーフティネットに対応したほうがいいです。
住宅ローンもなるべく早く借りたほうがいいです。
2020年前半で見ると影響は少ないと思います。2021年以降で本格化してきて商品のラインナップも変えてくる銀行も増えてくると思います。
住宅ローンやアパートローンは形式的な審査と商品内容(特に金利)になっているので、中小企業融資に注力する半面、これらの融資(ローン)は今よりも条件が悪くなることが予想されます。
そのため家を買おうと考えている方は早めに住宅ローンの申込や自分がいくら融資を調達できるのかを検討してみるのをオススメします。
アパートローンを借りている人はアパートローンのところから経営の勉強をして違うジャンルで何か商売ができないかを見つけ出すのもいいかなと思います。
不動産賃貸業者としてすでに確定申告を作成していますので今のうちに違うビジネスを作ってセーフティネットまでにとどかなくても何らかの保証協会付きの借入を起こし実績付けをしていくことがいいと思います。
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