元銀行員が教える 銀行員が考える経営改善の見分け方

query_builder 2019/11/07
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こんにちは喜創産業山本将司です。

今回は銀行員が考える経営課題の見分け方についてお話しします。

経営課題=粉飾です。

財務諸表の中から粉飾を見つけたときに銀行員は粉飾があるから融資できます・できませんと判断するわけではなく、自己査定に粉飾を反映させて実際にリスクの所在と大きさがどのくらいあるのかを検討します。

そのうえで、銀行側はそのリスクを受け止められるか受け止められないかを決定しています。

今回は3つ例を挙げますので今後の財務諸表作りに役立てていただけたら幸いです。

粉飾が原因で融資が通る場合と融資が通らない場合

1つ目の例

海産物卸の会社です。

年商が1億円・仕入7000万円と考えて、ししゃも2000万円(あえてししゃもにしています)の在庫があります。

皆さん、ししゃもが一匹どのくらいの値段のする魚だとイメージしていますか?

普通の居酒屋で出てくるししゃもはロシア産や海外のものが多く、一匹100円ぐらいのものだと思います。

ですが、本当のししゃもは(北海道に行かれたときに食べている方は分かると思います)一匹400円ぐらいします。

ここでロシア産のししゃもと日本産のししゃもを考えた時に皆さんと私との間で在庫のイメージが4倍違ってきます。

ここをどう考えるかで資産性があるかないかを判断します。

2000万円もあるのは結構在庫の金額としては大きいなと思いますが2000万円の数字で実際の在庫と商品のイメージと考えてあり得る・あり得ないが出てきます。

損益計算書で粉飾をすることは考えにくいので、一般的には貸借対照表で粉飾をすることになります。

資産が不良資産なのかを見て受け止められるか受け止められないかが決まります。

いい例

同じく海産物卸です。

年商10億円・仕入7億円あります。

めんたいこが冷蔵庫の在庫として1億円あると考えます。

ですがこの会社、実は船にも5億円のめんたいこを持っています。

けれどもこの船のめんたいこは在庫にあがっていません。

これは簿外資産?大丈夫かな?と思うのですがこれは粉飾ですがOKなんです。

理由はめんたいこをたくさん抱えるにしても自分の倉庫に置いておくと経費がかかります。

ですが、古くからの商習慣の中で5億円のめんたいこを冷凍庫を持っている船に預けるケースもあるんです。

これは事業を継続して行く上でどうしても必要な粉飾です。

そのため銀行員は容認することができます。

悪い例

建設業で年商が3億円・経常利益が500万円と考えたときに

未成工事支出金(工事を受けたときに自分が先に立替をして経費や材料仕入をすること)が1億円で資本金が1千万円・銀行借り入れが1億円。

この場合の問題として科目明細と受注工事明細の提出をしない企業が多いです。

そのような企業へは基本融資はしません。仮にあったとしてもかなり確率は低いです。

銀行は未成工事支出金を無いものと考えます。

そのため9千万円の債務超過になってしまいますのでリスクは大きくなります。

そして銀行で融資を受けたお金は未成工事支出金に当たっているいると銀行は見ますので、融資したお金を何に使ったのかという問題が起きます。

提出しないことが悪いとは言いませんが、提出しないならしないなりの理由を説明しないと銀行は納得してくれません。

この例は個人事業主でもよくありがちな話で、弊社に相談に来られるお客様でも未成工事支出金の部分を変なところに使っていて明細を出したくないと言われることもあります。

まとめ

1番大事なのは正直に表に出さないと根本的な解決にならないこと。

昔、担当していた会社で明細を出したくないというお客様がいたので出さないのであれば融資をしませんと言ったことがあります。

正直に答えてくださいと言ったところ、この会社の未成工事支出金の部分のほとんどが不良資産で大債務超過になっていました。

しかしその状況でも銀行は回収にかかります。破産してくださいというようなことは一切言いません。

リスクの所在の大きさで、前のリスクは未成工事支出金にありますのでそれを受け止めた上で今後どのようにして収益体質を作ってどう返していくかの根本的な解決に向けてお客さん自身と銀行が一緒になって取り組む必要があります。

そのため決算書の中から銀行員はリスクの大きさと所在を見つけ出すのはプロだと思ってください。

こちらがこの粉飾は分からないだろうと考えていても10あるうち9は探し当てることができます。

結果、粉飾は嘘をつかずに全て出すことが大事です。

そしてそれを分かった上で出口戦略をどう取り組むかを考えてみてください。

 

 

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